ハロー・ボンジュール、
カナダのケベック州に住む男子2人の母親じゃぽママです。
海外に住むと、日本では当たり前だと思っていたことがそうではなかった!ということが結構あります。
今回はその中でも、子どもたちが学校に通い初めたことで驚いた、小学校のシステムの違いを紹介します。
住んでいる州や地域によっても違うのでその辺はご理解を。
幼稚園は小学校の一部
お隣のオンタリオ州など他州は4歳から幼稚園スタートが多いようですが、ケベック州は小学校入学1年前の5歳から1年間だけ、Maternelle(マタルネル)と言う学年が存在します。
他州がどうなのか分かりませんが、このMaternelle(マタルネル)が実質小学プレ1年生という扱いで、学校区の小学校と同じ敷地内又は同じ校舎内に教室があります。
義務教育扱いなので、もちろん授業料は無料。
同じ校庭を使い、同じカフェテリアで食事をし、放課後の学童保育も小学生と一緒です。
物理的にもシステム的にも小学校の一部として扱われるため、保護者からすると子どもたちの小学校入学は実質5歳という感覚です。
先生が授業準備や雑務をするための休校日がある
元小学校教師の私は、実はこれに一番驚いたのですが、こちらにはPed(Pedagogycal)Dayという休校日が、大体毎月1回金曜日にあります。
そして、これは何のための日かというと、驚くことなかれ
“先生たちが、授業準備、授業以外の雑務、研修などをするための日”
なのです!
なんといううらやましシステム!
日本の先生たちは、子どもたちが全員下校したのちに、放課後夜遅くまで自分の時間を犠牲にしながらやっているというのに、ここの先生たちは、授業がある日は授業にだけ集中できるのです。
日本の教員の方たちから見たら羨ましいこのPed Day。
実は、保護者にとったら結構厄介な日です。
特にケベック州はPed Dayが他州に比べても多い…。
例えば、トロントやオタワがあるお隣オンタリオ州だと年間7日間程度。
バンクーバーがあるBC州だと大体6日間。
それに比べて、ケベック州は15日から19日。
他州の2倍以上やないか!
元々共働きが多いカナダの夫婦からしたら、たまったもんじゃありません。
大体の家庭は学童保育へ子どもを預けることになりますが、無料ではありません。
子どもをどこへ預けるか、どちらが休みを取るか、在宅ワークは可能なのかなど様々な調整が必要になります。
ただ、「えっ、またお休み?!」とか文句言いつつも、先生たちが余裕を持って色々準備したり子どもたちの課題を見てくれたりしてるのが伝わってくるので、私は日本にもこのシステムが導入できたらどんなにいいことかと思います。
ランチタイム専門の先生(スタッフ)がいる
これも、びっくりしたと同時にうらやましいと思ったシステムの一つなのですが、こちらの小学校の担任の先生はランチタイムは休憩時間。
5分で給食を早食いしてた頃が懐かしい
担任の先生の代わりに、ランチタイム専門の先生がお昼休みが終わるまで子どもたちの様子を見守っています。
日本だと、担任の先生が給食食べた後一緒に校庭で遊んだり見守ったりしていると思います。私もドッジボールしたり鬼ごっこしたりしてました。
思うに、こちらの学校は先生の業務が上手く分業化されていて、それぞれの先生やスタッフが自分の業務に集中できるようになっている気がします。
ランチタイムは家に帰ってもいい
上に書いたように、ランチの時間は担任の先生の管轄ではなく、基本的に学童のような扱いです。
なので、学童費を払いたくなかったり、学校と家が近い家庭などは、ランチタイムの1時間を家に帰って食べさせることも可能です。
学童費の例:
ランチタイムのみ→1日3ドル
朝昼夕方全てを含む→1日8.50ドル
うちの子たちは毎日学校で食べてますが、我が家は小学校に近いこともあって、近所の子の中にはランチタイムに帰ってきてる子も結構見かけます。
ちなみに、日本のような一斉給食はありません。
移民大国カナダ、宗教や文化の違う人たちが集まっているため、全員に同じ食べ物を出すというのは難しいのだと思います。
基本的には以下の3つの選択肢があります。
①お弁当を持参する
②カフェテリアで注文する
③家に帰って食べる
みんなで一緒に給食を食べる日本の給食システムが当たり前だった私に取っては、家に帰っていいんだ!という驚きが大きかったです。
おやつの時間がある
こちらの小学校には、Recess(リセス)という休み時間があります。
日本でいうところの2時間目と3時間目の間の中休み的な時間かな。
その時間、子どもたちはおやつを食べることになっています。
どんなものを持っていくかというと、
- スティック野菜
- 果物
- スティックチーズ
- チューブのヨーグルト
- クラッカー
- Bear Pawsのようなクッキー
- パックジュース etc…
給食がないため、毎日お弁当を用意するわけですが、お弁当のおかずとは被らないようにさらにおやつを準備するわけです。
毎日のおやつを考えないといけないのって結構面倒!
日本人ママで集まると、「collation(おやつ)何持たせてる?」とアイデアを寄せ合います。
掃除の時間がない
海外の学校には掃除の時間がなく、代わりにJanitor(ジャニター)と呼ばれる清掃員の人が行います。
帰り際に、教室のゴミ拾いをしたりすることはあるみたいですが、教室のみならず廊下、体育館、トイレの掃き掃除や拭き掃除までやるのは日本くらいなのでは?
息子たちは、日本の小学校に体験入学をしたことがありますが、楽しかったことのひとつに、掃除の時間を挙げていました。
サッカーW杯観戦後に日本人サポーターがゴミ拾いをする姿が、海外の人たちから賞賛を浴びて話題になりましたが、日本人が自然と使った場所を綺麗にして帰ろうという姿勢は、小さい頃から自分たちで使った場所は掃除しましょうと教育を受けてきた影響は大きいと思います。
参観日や運動会のような行事がほぼない
日本だと、学期ごとに参観日があったり、運動会や学芸会など、子どもたちの学校での様子を見る機会って結構あると思います。
もしかしたら、同じケベック州でも学校によって差はあるかもしれませんが、私が知る限り、親が見学できる運動会や、参観日が毎学期あるような小学校は聞いたことがありません。
学芸会に関しては、やっている学校もちらほら聞きますが、それでも日本に比べたら少ないのではと思います。
コロナの影響で、今まで行われていたイベントなどがキャンセルになっているというのもありますが、長男が通った小学校6年間(Maternelle入れて7年間)で、親が見に行ける行事が行われたのは数えるほどです。
なぜか唯一マラソン大会だけは親参加型なのですが、これも子ども全員の親が参加しないといけないという雰囲気ではなく、「参加したければどうぞ〜」って感じ。
なので、全校生徒の半分くらいの親しか参加していません。
これは私の憶測ですが、家族の形が日本に比べて複雑な子どもが多いカナダでは、家族を巻き込んだイベントをやるのは難しいのかもしれません。
入学式と卒業式がない
子どもの晴れの日を祝う入学式と卒業式がまさかのまさか、ありません。
純ジャパニーズな私、小学校(Maternelle)入学初日、一応綺麗目の格好して子どもを連れて行きましたが、校舎の前で写真撮って、先生に呼ばれたらバイバイ。
他の保護者は普通にTシャツに短パン見たいなカジュアルな服装。
卒業の日も同じくらいあっさり。
子どもたちは一応校舎内で卒業証書をもらったり、在校生の花道をくぐったりしたようですが、保護者は校舎から出てくる子どもをただお迎えに行っただけ。
他の保護者も、普段着でお出迎え。
迎えにさえ来てない家庭もありました。
卒業式に関しては、各学校の校長先生によってだいぶ違うようで、ちょっとしたセレモニーをしたりするところもあるようです。
コロナの影響で、親が校舎に入れなかったというのもあるかもしれませんが、パートナー曰く、彼らが子どもの時も、小学校の卒業式なんてなかったそうです。
私は、日本のような卒業式がなかったことをしばらく引きづりましたが、こればっかりはしょうがありません。
その代わり、セカンダリー(中高)の卒業式は、盛大にやるところが多いので、それを楽しみに待つことにします。
教科書がない
日本だと、各市町村が定めた教科書が配布され、先生たちはその教科書に沿って授業を進めて行きます。
ですが、カナダの小学校には教科書というものが存在しません。
州が定めたガイドラインはあるものの、どんな教材を使ってどのような授業をするのかは各先生の裁量によるところが大きいです。
基本的には、先生が用意したプリントを使って授業を進めています。
これの何が厄介かというと、子どもが今何をどのように勉強しているのかいまいち分からない。
宿題を見ると、なんとなくは分かるのですが全体像が掴めません。
使用したプリントは学期末に、まとめて持って帰ってきます。
そこで初めて、子どもたちがどういう活動していたのか、何を勉強していたのか、そして課題をどれくらい理解していたのかが分かるという具合です。
宿題は毎日しなくていい
日本の小学校に比べると、全体的に宿題が少ないのは間違いないです。
2ヶ月ある夏休みも、宿題一切なし。
さらに、宿題の出し方も日本とは違います。
日本は、毎日宿題が出ることが多いと思います(漢字ドリル、算数ドリル、音読、ひと言日記etc…)。
でも、こちらの先生は、
「○日までに〜ページまでやっておきましょう」
という形で宿題を出します。
大体1週間から2週間猶予があるので、放課後習い事がない日にまとめてやったりできます。
また、タブレット上でできる宿題もおそらく日本の小学校よりも多いと思います。
👆タブレットの宿題をする息子
うちの子を見ていると、こんなんで大丈夫か?!と思うほど、日本に住む子に比べて家庭学習量が少ない。
でも、その代わりに日本語の時間に当てたり、楽器の練習をしたりできるのでありがたいと言えばありがたい。
さらに、余った時間で友達と遊んだり、地域のスポーツクラブに参加したり、読書したり、もちろんゲームしたり。
自分のやりたいことに没頭できる時間が、日本の子どもたちよりも多いです。
宿題がないフィンランドが教育水準世界一とも言われていますが、これだけゆるいカナダの教育水準、実は日本とほとんど変わりません。
小学生のうちはあまりなかった宿題ですが、長男が中学に上がった途端に量がドカンと増えました。
小学生のうちは遊びの中で学び、中学生からは学校でしっかり学ぶというメリハリがある気がします。
カレッジ進学時も学校の成績や普段の課外活動が重視されるため、みんな学校での日々の活動を精一杯行います。
受験日に向けてひたすら一直線の日本に比べて健全だなと思います。
ただ、逆を言えば、入試で一発逆転ということができない、ある意味酷なシステムでもあります。
PTAは自由参加
日本でも、PTAを廃止したことでニュースになった学校がありました。
ニュースになるくらい大ごとだったということですが、それはPTAが任意加入にも関わらず、強制参加の空気がいまだに根強く残っていることにあると思います。
そして、PTAの強制加入によって辛い思いをしている保護者がたくさんいるということ。
そういう点で、こちらのPTAに当たる役員の仕事は出来る人がやる、強制はしない、という雰囲気です。
私はフランス語が苦手という理由で参加したことがないので本当のところは分かりませんが、大体はパワフルなお父さんお母さんがポジティブな雰囲気で参加している印象です。
日本人のお母さんたちの中にもそういう組織に参加している方もちらほらいますが(特に英語系の学校の場合)、強制させられたのではなく、自らやってみようと思って参加したようです。
今回は私が驚いたカナダの小学校のシステムについて挙げてみました。
小さなことを入れるともっとあると思います。
“どちらの学校システムがいいのでしょう?”
そう聞かれると、正直選べません。
自由にのびのびと子どもらしくいられるのはカナダだと思います。
ただ、日本の学校行事や式典はやはり素晴らしいし、親にとってみたら子どもの学校での姿を見られる機会が多いのも羨ましい。
ひとつ言えることは、学校の先生の労働環境は間違いなくカナダの方がいい!