北米ではデイライトセービングタイム(DST)と呼ばれる夏時間が導入されています。
日本語だとサマータイムという呼び方の方がピンと来るかも。
サマータイムが終わると本格的に冬支度を始めなければと焦り始めます。
今年は、サマータイムが終わってすぐの11月9日に雪が積もりました。
今回は、日本ではあまり馴染みのないDaylight Saving Time(サマータイム)と、冬支度についてお話したいと思います。
Daylight Saving Time(サマータイム)について
サマータイムの時刻調整
サマータイムは、3月の第2週目の日曜日午前2時にサマータイムが始まり、11月の第1週目の日曜日午前2時に終了します。
導入の目的は、
太陽が昇っている時間が長い夏の間は、時間を1時間進めて自然光を有効活用し、省エネしよう!
ということらしいです。
後ほど述べますが、実はこれには賛否両論あります。
今年は11月5日(日)にサマータイムが終了しました。
今でこそハロウィンが終わるとそろそろサマータイム終了だなという心づもりができるのですが、住み始めた当初は毎年誰かに言われるまで忘れていました…。
それくらい、日本人の私にとって全く新しい習慣でした。
時間が切り替わる日は、時計の時刻を1時間進めたり戻したりします。
慣れるまで、どっちがどっちなんだかややこしい!
一応覚え方があります。
“Spring forward, Fall back”(春は進めて、秋は戻す)
サマータイム終了の日は実質1時間長く寝られるので得した気分♪
公式には、午前2時で切り替わりますが、大体寝る前に時計の時刻を変えておきます。
携帯やタブレットのような電波時計は勝手に切り替わってくれます。
ですが、その他家中にある時刻を表示するもの全てを、手動で変えていかなくちゃいけなのが本当に面倒臭い!
今はほとんど人が携帯をアラームにしているので減ったかもしれませんが、それこそ今のような携帯が普及する前は寝坊者続出だったはず。
サマータイムを導入している国は意外と少ない
By Paul Eggert CC-BY-SA-3.0, via Wikimedia Commons
上の世界地図は、世界のサマータイム導入状況です。
🟦…現在導入している
🟧…過去に導入していた
🟥…導入したことがない
冬の日照時間が短い緯度が高い国は全て導入しているのかと思ったのですが、ロシアや一部ヨーロッパは現在導入を廃止しています。
また、カナダ、アメリカ、オーストラリア、ブラジル、メキシコは州ごとに導入するかどうかを決定しています。
カナダの場合、サスカチュワン州だけサマータイム導入を廃止しています。
驚くべきことに、日本も過去に導入していたことがあるのですね。
調べてみると1948年から1951年の数年間だけサマータイムが実施されていたようです。
過去には導入していた国が半数以上にのぼっていたのにも関わらず、現在は廃止している国が増えています。
EU加盟国も、サマータイム廃止に向けて2019年から話し合っています。
なぜ導入をやめる国が増えたのでしょうか?
サマータイムの歴史とデメリット
サマータイム導入は、実は時代遅れだという考え方が広がってきています。
元々、サマータイムが本格的に導入されたのは、第一次世界大戦中のヨーロッパ。
戦争中の乏しい燃料を節約するための苦肉の策でした。
National Archives at College Park, Public domain, via Wikimedia Commons
上のポスターは、世界大戦中にタバコ会社によって出された宣伝ポスター。
“Set the clock ahead one hour and win the war! (時計を1時間早めて戦争に勝利しよう!)”と書かれています。
主に戦争中、省エネを目的として導入されたサマータイム。
ですが、電力が安定的に共有される現代において、サマータイム実施によって省エネ効果はあまり見られないと言われています。
むしろ、家庭の冷房・暖房の消費量が増えたという報告もあるとか。
そして、研究者によると導入によるデメリットの方が大きいと指摘されています。
まず何よりも、時刻切り替えによる混乱と面倒くささが挙げられますが、その他にも様々なリスクが増えると言われています。
サマータイム導入によって増える言われているリスク
- 急性心筋梗塞
- 睡眠障害
- その他体内時計の乱れによる健康障害
- 流産
- 交通事故
- 職場でのアクシデント
また、学校や職場での生産性も低下する傾向にあるそうです。
これだけ見ていくと、じゃあなんで続けてるんだって思いますが、おそらくシステム変更などによる社会やビジネスシーンへの影響を考えると、なかなか簡単にはやめられないのではと思います。
サマータイム終了に向けて冬支度
サマータイム終了が合図で冬支度というよりは、実際にはその数週間前から少しずつやって、11月に入ったらいつ雪が降ってもいいようにしておくといった感じです。
今年は、11月5日に夏時間が終了し、11月9日に初めて雪が積もりました。
主な冬支度
- 車のウィンタータイヤへの交換
- 庭の掃除と次のシーズンのための球根植え付け&土作り
- 外の水道を止めて庭のホースを片付ける
- プール、ホットタブ、スパの片付け
- 防寒具の準備(特に子どものサイズチェック!)
車のウィンタータイヤへの交換
冬支度の中でも一番気をつけたいのが車の冬仕様への変更。
各州によって違いますが、ケベック州では12月1日から3月15日までは車のウィンタータイヤの装着が義務付けられています。
平均気温が7度を切ってきたら、ウィンタータイヤへの交換を推奨されています。
大体、10月後半になると7度以下になる日が増えてくるので、11月に入ったらガレージはどこも予約でいっぱい。
違反した場合は200ドル〜300ドルの罰金を取られるので、出遅れて予約が取れなかったら大変です。
庭の掃除と次のシーズンのための球根植え付け&土作り
カナダでは、ほとんどの地域は冬の間厳しい寒さと雪で庭仕事は何もできません。
庭を掃除し、次のシーズンのために土の中で冬越えをする野菜や花の球根を植えたり、コンポストを埋めて土作りをしたりします。
我が家は、ボカシコンポストを活用していて、庭じまいの1ヶ月前から肥料にするための生ゴミをコンポストにしてから庭に埋めています。
外の水道やホースの水抜きをしておく
忘れがちなのが、外の水道とホース。
冬の間氷点下が続くカナダでは、水抜きをしておかないと、凍った水が膨張して水道管の破裂につながります。
プールじまい
一軒一軒の土地が比較的広く、水道代が安いケベック州は、郊外になればなるほど家にプールやスパがある家が多いです。
日本だとお金持ちの家しかないイメージですが、カナダ郊外だと普通の一般家庭にもある家が多いです。
プールじまいは、水を抜いたり、冬の間水が凍らない様に水質を調整したり、機器の点検を行ったり、プールのカバーをしたりとやることがいっぱい。
これに関しては、夏が終わったらすぐにやる家庭がほとんどです。
防寒具の準備
当たり前のことではあるのですが、前もって必要な防寒着が揃っているかチェックするのをいつも忘れるズボラな私。
自分たちのものはまだいいのですが、子どもの防寒着はチェックしておかないと大変!
成長期の子どもは、前の年に着ていたり履いていたりし物が次の年にはすでに入らなくなってしまっていることがほとんど。
暖かかったと思ったら突然寒くなるという年も結構あって、必要になって初めて子どもの冬用のコートやブーツがサイズアウトしていることに気が付くということがよくあります。
今回は、日本人にはあまりに馴染みのないDaylight Saving Timeついて中心に書きました。
これからどんどん日が短くなり、初積雪もあって、いよいよ長い長い冬がやってくるなと身構えます。
日本の雪なし地域出身の私は、10年以上カナダに住んでやっと“冬支度をする”という習慣に慣れてきた気がします。
引きこもりになりがちのカナダの長い冬を鬱々することなくどう過ごすかは私の永遠の課題です。