ハロー、ボンジュール、
カナダのフランス語圏在住主婦のじゃぽママです。
最近、息子の小学校の午前中クラスが休校になりました。
理由はまさかの、
先生たちのストライキ!
カナダでは、ストライキで公共交通機関が止まることもしばしば。
自分たちがストライキを行うことで人々が困ろうと、労働者としての権利を主張するのがカナダ人。
今回は、日本ではなかなか見られない、カナダの公務員のストライキ事情について書いてみたいと思います。
公務員もストライキするカナダ
自分の意見を主張してなんぼの北米。
ちょっちゅう何かしらの団体がストライキを起こしています。
そして、日本では法律でストライキを禁止されている公務員ですが、カナダは公務員もストライキを起こします。
日本では、国家公務員が”国家公務員法第98条2項”、地方公務員が”地方公務員法第37条1項”により、ストライキを禁止されています。
今回ケベック州では、実に42万人もの公立学校教員、学校スタッフ、医療従事者、ソーシャルサービスワーカーがストライキに参加したとのこと。
ケベック州のみならず、カナダ全土で教員のストライキは見られますが、どういう理由でストライキを起こしているのでしょうか。
先生たちがストライキを起こす理由
1. 給与と福祉: 資格と生活費を反映したより良い給与、福祉、年金制度を求めるため
2. 労働条件: 労働条件の改善を求め、仕事量、計画時間、教室のリソース、全体的な職場の満足度などに関連する問題
3. 雇用の安定性: 雇用契約の更新や解雇などの雇用の安定性に関する懸念
4. 教育政策: 学生の教育に悪影響を及ぼす可能性があると考える政策に対する懸念を示すため
5. クラスの規模: より小さなクラス規模を求め、学生と教師の比率を改善し、学生に対する個別の注意を向けることができるようにするため
6. 特別支援教育への支援: 特別なニーズを持つ生徒のためのより良いサポートとリソースを求めるため
今回のケベック州の教員を含めた公務員のストライキの理由は以下の記事から分かります。
people say we need more nurses, we need more teachers. How can we attract them? By having better working conditions and having better salaries.
出典:montreal CityNews
記事を訳すとこんな感じ↓
みんなもっと看護士が必要だ、もっと教員が必要だ、と言っている。じゃあどうすれば人手を確保できるのか?
労働条件を改善し、もっと給料を上げればいいのだ!
日本でも、看護士不足、教員不足が問題になっていますよね。
日本で問題なっている少子化、高齢化、人手不足などは、カナダでも同じように社会問題になっています。
休めない警察官・消防士・救急隊のユニークなストライキ
日本同様、警察官・消防士・救急隊などのエッセンシャルワーカーはストライキによってサービスを完全に止めることは禁止されています。
今回ストライキに参加している医療従事者もエッセンシャルワーカーです。
ですが、教員のように全員が働くのをストップしているのではなく、きちんとサービスを提供する人員は確保した上でのストライキ参加のようです。
人の生死に直結するサービスのためしょうがない。
エッセンシャルワーカーのみなさん、ストライキはできないけど、プロテスト(不満の意思表示)はできます。
例えば、モントリオール警察は、制服の代わりにカラフルなズボンを履いて仕事をするというプロテスト方法を取っています。
出典:LEDEVOIR
町の安全を守る警察が、カチッとした制服の代わりにふざけたズボンを履いて勤務に当たってるとなると、警察の威厳が保てなくなるため、政府も交渉に応じざるを得なくなるというわけです。
ちなみに、普段のモントリオール警察の制服は下の写真のような黒いズボンです。
出典:By Mtlfiredude – Own work, CC BY-SA 4.0
救急隊も救急車を使ってプロテストしています。
下の写真をよく見てもらったら、『EN GREVE』と書かれた紙が車体にたくさん貼られていると思います。
出典:RADIO-CANADA / RÉMI TREMBLAY
『EN GREVE(アン・グレヴ)』とはフランス語でストライキ中という意味。
ストライキによって仕事を止めることはできなくても、自分たちの主張はどんな形であれ表明する。
日本人はなかなかそこまでしてプロテストしようとはならないことを考えると、カナダならではの光景です。
ストライキで突然休校になった場合
日本以上に夫婦共働き率が高いカナダ。
予定になかったストライキによる突然の休校で、保護者たちはパニックです。
カナダでは、10歳以下の子が1人で留守番することが禁止されており、12歳以下の子が1人で子守りすることも禁止されているからです。
実際、コロナ禍での長期休校や、頻繁な突然の休校で仕事を辞めざるを得なくなった保護者もたくさんいます。
さすがに前日や当日に「ストライキするから休校」みたいなことはないのですが、今回のストライキも分かったのは10日前。
リモートワークに切り替えるなど融通が効く仕事ならいいのですが、そうではない人も多いはず。
みんなどうしているのでしょうか。
- 職場の上司に相談
- 援軍を呼ぶ
- 他の保護者にお願いする
- 信頼できるベビーシッターを呼ぶ
などして、なんとか乗り越えています。
でも、ここはカナダ。
仕事よりも家庭の事情を優先することが当たり前の風潮なので、嫌味などを言われることもなく、結構柔軟に対応してくれるところがほとんどです。
休校日の子どもの過ごし方
今回のストライキは午前中のみだったので、あっという間に登校時間になったのですが、それでも午前中丸々自由時間。
息子が何をしてたのかというと、
日本語タブレット学習の通信教育デキタス と、
KAPLA(カプラ)。
デキタスが終わった後、ベースメントに降りて静かに何かやってるなと思ったらお城が出来上がっていました。
「写真撮って!」と言われたので、彼の力作をパチリ📸。
ちなみに、KAPLAは買ってよかったと思ったおもちゃNo.1。
また今度記事にしようと思いますが、ただのシンプルな木の板なのに、想像力を使って無限に遊べる優れもの。
息子は小学校高学年ですが、今でもたまにこうやって遊んでいます。
我が家はレギュラーサイズの280ブロックでは足りずに1000ブロックを購入してしまったKAPLA lover。
休校の日は、日本語学習の時間に当てたり、楽器の練習をしたり、クリエイティブなアクティビティに時間を使ったり。
普段ゆっくりできないことをなるべくさせるようにはしています。
1日休校で、外も遊べる天気じゃない日は、テレビやゲームの時間が増えるのはもう仕方ない。。。
休校日の日中のテレビはなるべく日本語で見せるようにしてるよ。
日本では考えられない教員や公務員のストライキの話、いかがだったでしょうか。
ストライキは、実際には関係当局との交渉や話し合いが満足のいく解決策に至らなかった場合に最終手段として行うようですが、それでもどんな形であれ自分たちの権利を主張するという姿勢はカナダ人らしいなと思います。
日本では、教員の労働環境がいかにブラックかということがようやくメディアに取り上げられるようになりましたが、もしカナダのようにストライキを起こして労働環境の改善を求めることができる権利があれば、もっと早く世間の人々に教員の声が届いたのになと思ったり。
今回の教員ストライキは半日で終わりましたが、当局との交渉が決裂した場合は、また11月後半にストライキを行うかも知れないとすでに予告がありました。
バンクーバーでは、教員が3ヶ月(うち2ヶ月は夏休み)もストライキをした年があり、子どもたちの教育や保護者の仕事に相当な影響があったようですが、ケベック州の今回の公務員ストライキは長引かないことを願います。